2010年04月17日

洗脳支配

オウム真理教の信徒に施された洗脳を、解いたということでも有名な、苫米地英人氏の書籍のひとつです。経済と歴史に触れながら、いま現在の私たち日本人が知らずのうちにだまされていることを、分かりやすい文章で解説しています。

考えてみれば、私たちが共通の知識として信じているものは、学校での国が認定したカリキュラムの教育や、TV・新聞・雑誌といった大手マスコミの似通った情報元から得ているのがほとんどです。

本書を読んだ直後に気づいたのは、次のような点です。


・明治維新は、外資、主にイギリスやフランスの金融資本のファイナンスによって成し遂げられた。徳川幕府側へはフランスの金融が、薩摩・長州側へはイギリスの金融がファイナンス(=投資)していた。実際、ポンド建てで丸の内の銀行関連の建物がイギリス式で建築されて「一丁ロンドン」と呼ばれる町並みができた。

・「文明開化」と呼ばれた変化は、正しくは「ヨーロッパ化政策」と呼ぶべきで、文明開化と喧伝することにより、あたかもヨーロッパが先端の文明であるという、国民の意識への書き込みが行われた。その象徴として東京駅もヨーロッパ調で建築されて、皇居にもっとも近い場所がヨーロッパ調の町となった。

・実際には江戸時代に日本は既に、資源の少ない国土でも暮らすことができる、世界的に見ても高度な循環型社会を運用していた。政治制度も進んでおり、富を持つものと、権力(生殺与奪権)を持つものを分離させた、歴史上まれにみる安定社会であった。一つの問題点は、外交交渉力が相対的に低いことだった。それは島国である故の宿命だとも捉えられる。

・当時のヨーロッパが目指していた資本主義による物質化社会と日本は、価値観が根本から違った。それにも関わらず、イギリス・フランスからのファイナンスを受けた薩摩・長州勢力と幕府側とのもみ合いの中で、ヨーロッパ化を受け入れることになった。

・今日本を支配しているのは、総理や政治家や官僚ではなく、表に出てこない、旧来の薩摩・長州藩を受け継ぐ人々だという。国の利権によって、表に出てこなくても生活を脅かされることはない立場にいる。政治のトップの顔は、何か問題があれば首をすげ替えられるが、彼らの生活が脅かされることはない。

・利権の具体例はマスメディアで、法律によって強力に守られた存在となっている。電波法・放送法などによって、簡単には他の民間企業が買収できないように網を被せてある。ライブドアのホリエモンは、それら利権の元で生活している人達から退場させられたというのが、大きな視点からみた事実であるという。

・銀行の準備制度について全く知らなかった。準備率が仮に1%だとすると、個人が1万円を普通預金に預けると、その銀行は信用創造された100万円分を自由に使うことができるという。銀行の準備制度は、金融ギャンブルの「レバレッジ」と事実上同じこと。つまり金融業の免許さえ国から発行されれば、合法的に100倍、1000倍のギャンブルができるということ。

・アメリカのFRB(連邦準備制度)は、この準備率が0.1%を切っているとも言われ、そうすると証拠金がたったの1万円あれば1000万円以上もの金融取引ができる。アメリカの銀行は、日本に米国債を何百兆円も買わせることで証拠金を得ているので、その1000倍以上の取引が可能になっている。その使い道は、日本の銀行を買ったり(吸収・合併)、東京都心のビルなどの不動産を買ったりしている。この活動の大元である米国債は、日本の銀行が引き受けている訳だから、日本人が銀行に貯金をすればするほど、日本の会社とか土地は、どんどん外国人に奪われていくというのが大きな構図。

・このように、国に税金を納めるため、外国人にお金を吸い取られるために、私たち国民が働く、という今の状況を変えるには2つしかない。日本が米国債を買うことを止めるか、個人が銀行に貯金をすることを止めるか。個人ができることは、後者しかない。この他に著者が勧めるのは、貨幣価値変動に影響されない金などの実物資産で持つこと。

 


本書は、専門家らしい視点から、私たちが情報を得る場合の落とし穴を解説してくれています。あるテーマについて何の予備知識もない空白の状態の時は、最初にインプットされた情報を盲目的に信じてしまう傾向があるのは、確かにそうだと頷けます。こうした人間の脳生理学的しくみを知っておくことは大切だと感じます。

続きを読む
posted by dekibiz at 11:22| 320)ビジネス書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

交渉術

書店で、ビジネス書のコーナーに行けば「交渉」事に関する書籍はたくさんあります。交渉術に関する書籍は、Amazonで1234件もヒットします。言うまでもなくビジネスにおいては交渉の機会が多く、交渉力が大きく成否を左右することになります。

この本が、他の交渉術と大きく違う点は、大きな視点で書かれているという点です。この本を読むと、TVや新聞でニュースを見る視点が多少変わります。

普天間基地移設問題でも、「早く案を国民に示せ」という圧力がマスコミから掛かっています。しかし、外交交渉はそういうものではない、ということが本書では分かりやすく説明されています。

「交渉の手の内を、メディアに向かって話せ」と言っているに等しいものです。国民への説明責任を取るか、交渉自体の成功を取るかというのは、どちらか一方しか選ぶことができない。そう考えると、メディアに対するアナウンスが苦し紛れになる現状は、不思議と頷けます。

このように本書は大きな視点=国家間交渉をメインに書かれていますが、ビジネスでの交渉事にも十分に参考になります。

本書を読んだ直後に気づいたのは、次のような点です。


・国家間交渉では大きなお金が動いたり、失敗が許されないので、より慎重に動くという点が違う。

・国家間交渉では、外務省が直接交渉をするだけではなく、諜報機関を使って日頃から地均しをしており、こちらの方が重要で効果的だ。

・米国CIAなどの諜報機関は、情報を得るために対象となる人に対していろいろな方法でアプローチする。人間の動物行動学、心理学、考え方の根本体系などを、かなり研究している。酒を使って情報を引き出したり、男女関係を使って情報を引き出したりするのは当たり前。生きるための基本的なもの、例えば医療や食料、冷暖房などのエネルギーを使って(=提供して)、長期的に情報を引き出したりもする。ただし、公務員であるためリスクは犯さない。日本では、諜報機関員は5時には家に帰る。

・植民地経営と、国内政治は似ていて、「民衆の食料庫のカギを握れ」という哲学で共通している。これは過去ヨーロッパが行った植民地政策の基本でもある。この手法を使った国内政治は、現在の日本でも行われている。

・私たちは21世紀に生きているはずなのに、一度お金を取り上げられてしまえば、生存することができないようになっている。紀元前の昔でも生きるための食料調達、仲間と生きる知恵があったはずなのに、不思議とそういう知識は教わらないようになっている。そういう生きる知識を教わる代わりに、どんどんお金を使うことが奨励され、その結果税金を国に納めるように、義務教育が設計されている。

・北方領土交渉でも、日本側がこの手法を使って、北方の現地住民の「食料庫のカギを握る」戦略を進めていた。電力や医療、教育を、日本式で無償提供する。それを使い慣れると、日本側の支援なしには生きていけなくなる仕組みだ。その一環がいわゆる「ムネオ・ハウス」だった。途中経過は上手くいっていたこの交渉戦略が、鈴木宗男氏の失脚によって頓挫してしまい、今後日本は大幅な譲歩をせざるを得なくなりそうだ。

本書はビジネス書的な実務への利用だけではなく、普段のニュースを見る目が分かるような、知識が得られる本だと感じます。

続きを読む
posted by dekibiz at 11:06| 320)ビジネス書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。